復帰の第一歩

1月18日、汐留ベヒシュタインサロンにて、「アートにエールを!ステージ型」の無観客での演奏収録を行ってきました。復帰の第一歩です!

最小限のスタッフの皆様と最後にソーシャルディスタンス&マスクの写真

本来ならば、2020年5月27日、杉並公会堂にてモーツァルトのアルバムリリース演奏会を開催する予定でしたが、コロナの影響により中止となりました。その公演に対する助成公演収録です。入院中にマネージメントとプロデューサーが私を演奏する場に戻すために用意してくれた舞台です。この舞台が決まったのは8月。一つの目標として、治療やリハビリに励む大きな原動力となっていました。6月の公募の時点では9月に退院し、3カ月の回復猶予がある、12月下旬に収録予定でした。しかし、私の入院が長引き11月下旬時点で、東京都はじめ、関係者のご理解によって、1月18日に日程変更となり、本番の日を迎えました。

正直なところ、演奏するまでは、どうなるのか分からず、ただただ、「今の自分ができる演奏をしよう。」と思い会場入りしました。事前告知をしなかったのは、体調も当日まで一体どうなるかわからない不安もあったからです。まだ、退院後1カ月半。身体の機能は、よちよち歩きです。

不思議なことに、慣れた会場に入ると、調律の加藤さんがいて、プロデューサーの小坂さんがいて・・・と当たり前の光景がそこにあって、時間をワープしたような感覚になりました。自分の身体も心も通常の演奏するモードに自然となるのです。会話も最小限ですが、演奏会前に調整していく当たり前の会話は何の違和感もなく、変わらず音楽に向かいます。ピアノの状態も私の身体の負担を考慮して、調整をお願いしていましたが、最終的にはデフォルトに戻しました。私の思うベヒシュタインの音を生かして演奏したいからです。全ては音楽創りです。今回の収録は平均律で行いました。ですが、面白い出来事がありました。私は間違えた音を弾いた??と思い、後で確認すると、そこは音程が違って聴こえるために戸惑ったのです。面白い現象であり、怖いなと思いました。自分の思う音程の幅と違っていたのです。

リハーサル中。

リハーサルを終え、外出すら慣れていない私は既に、心地よく身体が疲れはじめて、少し横たわっていたら、今日の私の聴衆となる、東京都の職員立会人3名の方が「演奏をする」私のモードに更にアクセルをかけてくださいました。拍手のない収録ですが、30分のプログラムを演奏することができました。

弾き終えて思うことは沢山ありますが、『音楽をした』という思いが確かにあります。だからこそ、皆さんへ動画が出来次第、ご案内します!!

この復帰第一歩を踏むために、多くの皆様が力を与えてくださいました。本当にありがとうございます。まだまだゆっくりですが、演奏会で全プログラムを弾ける心身を作っていきます。

私は演奏をして生きたいです。だから、治療も引き続き頑張っていきます。

本当に心地の良い疲れが、最高です!幸せです!

アーティスト達、関係者達、みんな頑張っています。闘病中の仲間もみんな頑張っています。今、世の中のみんな踏ん張っています。

最高です!幸せです!って言える日が皆にも訪れることを心から願っています。

2021.1.19.    稲岡千架

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