ノイマルクト レコーディングの旅[3]|はじめまして、ライツターデル〜

待ち合わせ時間までは、会場周辺を散策し、街をリサーチ。この街をとても気に入った!素敵な小川が流れ、レコーディングに行き詰まった時、私を癒してくれると思った。いよいよ会場の下見へ。

待ち合わせ時間になり、楽屋口から入ると、先ずはとても感じの良い大学時代に声楽を学んだという臨時の案内担当者と、会場設備担当者のおじさんと握手。
我々が日本からわざわざ下見に来たことを歓迎してくれた。直ぐに舞台へと誘導し、会場の歴史本をプレゼントしてくれ、アーティスト達の話をしてくださった。階段を上がり、会場へ足を踏み入れると、一目でとても良い音の期待を持てた!
丁度、翌日に公演のあるシフ選定のスタインウェイと、もう一台ブレンデル選定のスタインウェイが舞台上にあった。翌日公演のため、シフ選定の方は触れず、ブレンデル選定の方を試弾させてもらった。因みにもう一台小さめのスタインウェイがあるらしい。

さあ、いざ、音を鳴らすと…
『ああ、ああ、すごいな。こういうことか。なんと音の自然な発音と解放。』小坂氏が「稲岡さんがモーツァルトを録るならこの会場なんです。ドイツだからとかではないのです。」と言った事が府に落ちた瞬間でした。
それまでは、どこかで本当に⁇と思う気持ちがあった。
ここにベヒシュタインが入ったらどうなるのだろう…気持ちは高まり、ついつい長く弾かせてもらってしまった。
和紙のような会場の丸いランプが気になり、尋ねると、一度ガラスに変えたら音が変わって紙に戻したという。なるほど、納得。

数日前に小坂氏が訪れた時に、不足していた詳細を創立当初から在任の秘書の方と打ち合わせし、渡航前に候補に上がっていた2019年7月の予約はアメリカのチームが既に抑えてしまっていた。レコーディングの名所だと改めて思う。我々も慌てて、ベヒシュタイン ・アウグスブルク、ベルリン本社、ジャパン、各スタッフと連絡を取り、2019年9月の予約ができた。

この日、友人ピアニストに興奮して
『私、この会場で音を出して、ここで、できたらなら、死んでもいいやって思うくらいよかった。最高だよ。』と電話をした。この後に、数箇所の会場下見の旅は続くが、既に私は99.9%決めていた。

続きは、また今度…

2020.5.23.

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