良い御年を/Tschüss2020
今年は世の中も、私も、大変な一年でした。まさか、こんな年になろうとは、誰もが思っていないかったと思います。
ふと、この一年を振り返ってみて。世界中の嘆き「コロナ」は、毎日ニュースを目にするから現実だということが理解できています。
ですが、自分が白血病ということは、12月31日現在、あの4月からの闘病は、あまりに非現実的すぎて、悪夢だったんじゃないのか?という気持ちにかられています。12月初旬に退院してから毎朝、珈琲を入れ、念願だったトーストを口にして、病気をする前と変わらない朝がスタートする。ピアノを弾く。散歩をし、昼寝をし、夜はしっかりと眠れる。確かに、体力がなかったり、疲れやすいなどはあれど、食べることができて、眠ることができている。
一方で、鏡に映る痩せた自分の姿を見て、現実に戻されたり。免疫力の低い私には感染症の危険もあるわけで、日々、気を付けて過ごしている自分がいるわけです。
とても不思議な感じなのです。
その悪夢の中でも、とても満たされた思いがありました。人々からの優しさや、温かい愛や、私が生きる力を信じていてくれる思い・・・。病気になったことは、決して喜びではないけれど、その現実があったからこそ、多くの有難さを知ることができました。小さな幸せが幾多もあることも知りました。自分にはあって、当然かのように何も感じていなかったことです。いや、感じている「つもり」でした。だけど、それは、あまりに偉大でした。
私如きの人間の命が一つ。とは言え、家族や友人、多くの人々が心を痛めて、心配をし、時には苦しみ悲しんでいる姿を見て、私は生きることでしか、返すことはできないと思いました。生かされているということなのでしょう。
ここから、私自身、一体どうなるのか、世界がどうなるのか、皆、わかりません。ただ、一日一日、大切に生きたいです。
心から、皆が心身ともに健やかで、笑顔があることを祈っています。
来年は普通に皆と会える日が来ることを祈って・・・
世の中の平和を祈って・・・
今年も一年、皆様、本当にありがとうございました。
良い御年をお迎えください。
2020.12.31. 稲岡千架