レコーディングの旅[7]|モーツァルトと私のマンハイムから

いよいよレコーディングに向けての渡航が2019年8月末にやってきました。
羽田空港ではダウンタウンの松本さんをお見かけし(関西人としてはお笑い界のすごい人!)、搭乗する機体はANA Star Warsで、とてもラッキーなアイテムをゲットできた気分でドイツへ飛びました。

今回はフランクフルトに着陸し、私が5年過ごしたマンハイムで3日ほど現地時間に体を慣らしました。恩師ルドルフ・マイスター先生を頼って、練習場所を確保できました。懐かしのレッスン部屋。スタインウェイとベヒシュタインが並ぶレッスン部屋。
そして、学生に戻ったような、初心に返るような空気の部屋。ピアノの前に座ると当時の情景が蘇ります。

バリエーション&ソナタのアルバムの中の、ソナタハ長調KV330はマンハイムに入学して最初に勉強した古典作品です。しかし今回、日本で準備していても、今一歩、抜け出せずにいました。過去に囚われているのです。ピアニストは何度も同じ作品を弾きます。ですが、『いつも新しい作品を見るように、作品に接してごらん。』そう、学生時代に恩師に教わりました。楽譜から、どのようなトキメキを見つけられるか。慣れの怖さ、自分の視野の狭さ、そこから抜けられていない感覚がありました。一気にこのマンハイムでの練習時間によって、変化し始めました。夜に先生と食事に行った時に、その話をしたら、笑顔で、『Guuuut!』よかった!と。

練習の合間に少しマンハイムの街を散歩すると、随分と雰囲気は変わっていましたが、変わらないものもあります。
私が住んでいた場所からすぐ近くにあり、モーツァルトも訪れたイエズス教会。モーツァルトも私も弾いた、プファルツ選帝侯カール・フィリップ侯が作った宮殿。当時マンハイムは非常にオーケストラが栄えていました。ヴォルフガングはバイエルン州ミュンヘン、アウグスブルクに行くことよりも、アロイジア・ウェーバー嬢への気持ちが抑えきれず、一人でマンハイムの地を訪れていました。

自分の所縁の地に、モーツァルトも居たことを感じながら、私はレコーディング会場のある、バイエルン州オーバー・プファルツ・ノイマルクトへ入ります!

続きは、また今度…

2020.6.24.

シェアする